賀蘭山と西夏王陵
寧夏回族自治区の省都銀川(インチョワン・ぎんせん)は、平原の中の緑豊かな中都市です。街の北西約30kmには万里の長城があり、それが寧夏回族自治区と内蒙古自治区との区境になっていることから分かるとおり、この地は秦漢の時代から中国王朝と遊牧民族との攻防が繰り広げられてきた場所でした。銀川は1038年、タングート族というチベット系民族が建国した西夏王国の首都興慶府でした。この西夏王国は井上靖原作の『敦煌』の時代背景となっており、広大な平原に今なお点在する西夏王陵と、彼らが残した表音・表意文字の西夏文字は、この謎多き王国へのロマンを掻き立てます。
銀川の街を歩いていると、小さな白い帽子をかぶったイスラム教徒である回族を多くみかけます(自治区全人口の20%)。彼らは、どことなく西方の匂いを感じさせる堀の深い顔立ちをしています。
このあたりには所謂中華料理と違った回族独特のイスラム風の料理があり、中でも香辛料のきいたスープで食べる独特の手打ち麺は、中華風麺とは一味違いさっぱりとしてなかなかのものです。
郊外には、南から北に黄河が流れ、その周りは砂漠に囲まれています。銀川から南の中衛(チョンウェイ・ちゅうえい)に向かう途中、黄河沿いのタラトキ砂漠では駱駝に乗って砂漠の散歩を楽しんだり、山羊の皮に空気を入れたものの上に材木を乗せて作った筏で、黄河下りを楽しむことができます。
写真説明(左から右へ):
黄河を山羊皮ボートで下る、タラトキ砂漠で駱駝乗りを楽しむ、西夏王陵と賀蘭山、海宝塔、黄河と砂丘、地元のレストラン
西夏王陵と遠く賀蘭山脈を望む