明清代を通じて中華帝国の首都、北京。北京には荘厳な中華文化を誇る故宮(紫禁城)をはじめとする数々の文化財が残っています。紫禁城と言えば、坂本龍一のテーマ曲がアカデミー賞を受賞したことで有名なベルナルド=ベルトリッチ監督の「ラスト・エンペラー」を思い浮かべます。西太后がいまわの際に3歳の溥儀を呼び出し、次の皇帝であることを宣言する場面で、広大な紫禁城で数百人もの臣下達が溥儀に平伏すシーンは、とても印象的でした。
北京はとにかく大きな街です。1,100万人と人の数も多いのですが、道路がその交通量に比較して非常に広く、また、一区画も大きく作られているため、地図で見るよりも実際歩くと距離があり、少々慣れるのに時間がかかります。その大きさの象徴が、北京の北、郊外にある万里の長城です。宇宙から確認できる唯一の建造物として有名で、東は河北省山海関から西は甘粛省嘉峪関まで、全長6,350kmと、日本をはるかに超える大きさです。北京市内にある八達嶺は、いつの季節も観光客でごったがえし、登るのも一苦労ですが、一時間ほど登ると人もまばらになり、そこには静かな風の音が聞こえるばかりです。
北京の南西には、永定河に架かる金代の名橋盧溝橋があります。元代に訪れたマルコ・ポーロがその美しさを絶賛したため、別名マルコ・ポーロ・ブリッジとも言います。欄干の柱頭には様々な姿をした石の獅子が彫られています。この橋で忘れてならないのが1937年の盧溝橋事件で、この一発で日中戦争が勃発しました。橋の東正面には、今もなおその歴史を物語る抗日戦紀念館があります。
北京北西部に、面積50万uの中国最大規模の動物園、北京動物園があります。数十頭ものパンダ(大熊猫)、孫悟空のモデルになった金絲猴、四不象(鹿の一種。もののけ姫に出てきた動物に似ていました。)など、珍しい動物が多く、特に四不象は動物園以外では絶滅した非常に珍しい動物です。
写真説明:
(一段目左から右へ)
万里の長城(八達嶺)、八達嶺の頂上(行止り)、万里の長城(八達嶺)、八達嶺を登る観光客、定陵より明の十三陵を望む、北京動物園のパンダ、天安門広場
(二段目左から右へ)
盧溝橋の欄干、北京動物園の四不象、故宮乾清宮の宝座、王府井大路(ワンフーチンタイルー)、王府井のデパート新東安市場
、北京雑技団、天安門広場
八達嶺より万里の長城を望む
『ラスト・エンペラー』(1987年伊英中合作)
監督:ベルナルド・ベルトリッチ
出演:ジョン・ローン、ジョアン・チェン