ノルウェーは複雑に入り組んだ海岸線「フィヨルド(Fjord)」で有名です。特に、ノルウェー南西部のベルゲン近辺は大規模なフィヨルドになっていて、夏には世界各国からの観光客で賑わいます。

ノルウェーの首都オスロを起点とすると、まずベルゲン行きの列車でミュルダール(Myrdal)まで行きます。( MAP)オスロを出発するとしばらくは森林地帯が続きますが、徐々に湖や山、そしておもちゃのような村々が見えてきます。ミュルダールからは、登山列車フロム線に乗り換えて、絶壁を転げ落ちるような急勾配を海面まで下って行きます。終点フロム(Flåm)に着くと、もうそこはアウランフィヨルド(Aurlandsfjord)です。フェリーに乗り換えてフィヨルドクルーズの始まりです。

アウランフィヨルドは世界一長くて深いソグネフィヨルド(Sognefjord)から枝分かれしている比較的細いフィヨルドです。その分、船のすぐそばまで迫立つ断崖を無数の滝がごうごうと音を立てながらフィヨルドに落ちてくる景観はとてもダイナミックです。そんな絶壁の影にひっそりとたたずむ村々は今にも山々に飲み込まれそうで、その昔人々がバイキング船に乗って外海に出て行きたかった気持ちがわかるような気がしました。

ノルウェー海に面するベルゲンはノルウェー第二の都市です。また、とても歴史のある町で、特にブリッゲンと呼ばれる地区には「ハンザ同盟」時代の三角屋根の建物が立ち並んでいて、その美しい街並みはユネスコの世界文化遺産にも指定されています。
写真説明(カーソルを写真の上に置くと説明が現れます):
(1段目左から右へ)
オスロからミュルダールの途中の車窓、ヴォスの村、途中での車窓、フロムの駅、フィヨルドに流れ込む滝、絶壁を流れ落ちる滝、アウランフィヨルド
(2段目左から右へ)
フィヨルド沿いの小さな村、アウランフィヨルド、東山魁夷画伯の描いた滝、フィヨルド沿いの小さな村、ヴォス付近の湖、ベルゲンの街並み、ベルゲンの魚市場
なぜ、北欧を旅して、私が心の故郷に巡り合ったのか。
北欧の自然と、町と、そこに住む人々に対して、
あれほど心を通い合わすことが出来たのか。
私の北方的要素は、北方の人でない私、
むしろ南の人間であるべき私の上に、積み重ねられたものである。
私が根本的に北国の人間であるなら、
おそらく光の豊富な南方へ憧れたであろう。
だからこういう本質を持つ私が北の風物の中で心を打たれるのは、
むしろ、寒さの中での暖かさであり、暗さの中での明るさ、
生に対して苛酷な条件の中での生の輝きというように、
本当に北方的な極限の姿ではなくて、
北の要素の中にほの見える南の要素であるとも考えられる。

生きていること自体が旅であり、流転であるとするならば、
風景との、あるいは人との巡り合いも、
ただ一度のものと思わねばならない。
(東山 魁夷 著 「森と湖と〜東山魁夷小画集」本文より)
 
東山魁夷
「夕静寂」
昭和49年 紙本彩色
オスロからミュルダールの途中の車窓 ヴォスの村 途中での車窓 フロムの駅 フィヨルドに流れ込む滝 絶壁を流れ落ちる滝 アウランフィヨルド
フィヨルド沿いの小さな村 アウランフィヨルド 東山魁夷画伯の描いた滝 フィヨルド沿いの小さな村 ヴォス付近の湖 ベルゲンの街並み ベルゲンの魚市場
フィヨルド沿いの小さな村